2011/04/12

【時々の途中経過】茨城県北といわき市の放射線量率と累積値[4/12 前書きだけ更新]
Radiation dose rate and accumulated value at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City

カテゴリー :福島第一原発トラブル
タイトル :茨城県北(北茨城、高萩、日立市大沼町)と福島県いわき市の放射線量率と累積値
トピックス :2011/04/09 18:00(日立は4/8 0:00)のデータに更新。各市とも減少幅が小さくなっている。

また、今日(4/9)は雨が降ったが線量増加がなかった。
これは空中に漂っている放射能が無い(3月21日の雨で既に洗い流され地面に落ちていた)ことを意味する。

この先の線量がどうなるか、非常に単純なモデルの2つのケースに加えて、岡山大学 北脇氏に放射線量変化モデル(*2)による推定をしていただいたので、その結果を追加した。

それによると、自然放射線量(従来ほぼ0.05 - 0.1µSv/h)に相当するベース線量は、0.2µSv/hほどに底上げされ、今後は年間 1.5mSv程の増加(ただし、ずっと外にいた場合)になる可能性がある。

それを見極めるためにも、今後とも実測データの注視が必要である。

過去の記事は時々、【時々の途中経過】に保管しています。
この記事は2011/4/12 AM時点の「茨城県北といわき市の放射線量」のコピーである。

最新版は

茨城県北といわき市の放射線量率と累積値
参考になるサイト

各地の放射線モニタ関連情報
全国の放射線量他のデータ、グラフ
福島原発の放射能に関する専門家の意見

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[3/12AM 前書き]

茨城県日立市では、今日、3月11日以来、最高の地震がありました。
この前は震度6強、今は震度6弱。でも電気が止まらなかったのは大きな差でした。

おかげで、今こうして、パソコンに向かっておられます。
でも心理的なショックは結構大きいです。

そこで、初心に帰ってファクトファインディング。

大雨は降ったが、各地の放射線量は変わってないし、東海原発も無事だし、福島第一からも異常の知らせもないし。

ということで、今日はデータの更新なしで寝ることにします。

という間にも有志の皆さんは精力的に活動されています。
無理しないでやってくださいね。
おやすみなさい。


日立市大沼町の放射線量率スナップショット
Radiation dose rate snapshot at OnumaCho Hitachi-city Ibaraki 
http://eq201103.blogspot.com/2011/03/20110316-onuma-hitachi-city-ibaraki.html
つくば(KEK)の空間線量率スナップショット
Radiation dose rate snapshot at Tsukuba (KEK) Ibaraki 
http://eq201103.blogspot.com/2011/03/kek-radiation-dose-rate-at-tsukuba-kek.html


1 データのグラフ
1.1 カレント値 (current value)

(1) カレント値(普通目盛り)
4/9日18:00時現在、いわき 0.36µSv/h、北茨城 0.36µSv/h、高萩 0.30µSv/h、4/8 0:00現在日立市大沼町で 0.32µSv/h と従来の自然放射線(場所により異なるがほぼ 0.05µSv/h)の5~6倍程度まで減ってきた。


(2) カレント値(対数目盛り)
値が小さくなり、上記グラフでは見づらくなってきたため、対数メモリにプロットした。その結果、グラフは下に凸になっており、半減期が徐々に長くなっていることがわかる。


(3) 3月14日と16日のピークの発生順
以下は3月14日から16日までの拡大である。3月15日と16日の2回のピークは共に、
いわき→北茨城→高萩→日立市
の順に立ち上がっており、福島第一からの放射性物質の飛来であることを物語っている。
(3) 3月21日のピークの発生順
以下は3月21日のピークの様子を示したものである。
この日は雨が降っており、このピークは雨のせいと言われているが、本当に福島第一からの放出が無かったか疑問であった。しかし、この日のピークの順番は
北茨城→日立市→いわき→高萩
の順に立ち上がっており、雨が降った順番の可能性が高く、原発からの直接の飛来とは考えづらいい。

(4) 以下は各地の今後の線量の目安の予想である。
(*1) 線量推移が指数関数+定数に従うと仮定した単純モデル
(*2) 放射線量変化モデル 
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~kitawaki/Radiation_Model_Sim_4.htm

いわき(3/21 - 4/7)近似(*1)

いわき(3/21 - 5/20)近似(*1)

いわき(3/14 - 6月下旬)の推定(*2)


北茨城(3/21 - 4/7)近似(*1)
北茨城(3/21 - 5/20)近似(*1)
北茨城(3/21 - 6月下旬)の推定(*2)

高萩(3/21 - 4/7)近似(*1)
高萩(3/21 - 5/20)近似(*1)
高萩(3/21 - 6月下旬)の推定(*2)

日立市大沼町(3/21 - 4/7)近似(*1)

日立市大沼町(3/21 - 5/20)近似(*1)
日立市大沼町(3/21 - 6月下旬)の推定(*2)



(*1) 今後の線量の目安を想像するための単純なモデル。
線量近似値 = (初期値 - 自然線量率) x EXP(初期値からの時間 * ln2 / 半減期) + 自然線量

ただし、半減期は複数の核種の半減期を十把一絡げにした「みかけの半減期」である。
また、自然線量は、ここ数年の、線量の落ち着き先であり、半減期が長い放射性物質の寄与やどこかからやってくる(放出されている)放射性物質および従来の自然線量の総和である「みかけの自然線量」である。
ここでは、下記の2ケースを計算してみた。

[ケース1] 見かけの半減期をヨウ素131のそれ、みかけの自然線量を従来のそれとした場合
[ケース2] 半減期 と自然線量を変化させ、3月21日以降の実測カーブとフィットさせた場合

ケース2は初期値と見かけの半減期を、カーブのへこみ具合が一致するように短めに選んで固定し、実測値と近似値のグラフがフィットするように見かけの自然線量を動かすことにより、大き目の「みかけの自然線量」を予測しようとしたものである。
これを、近い将来に延長してプロットすることにより、今後の線量の上限が想像できる。


(*2) 「放射線量変化モデルによる、積算放射線被曝量の推定と放射線源の推定」 岡山大学 北脇氏
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~kitawaki/Radiation_Model_Sim_4.htm
による推定

1.2 累積値 (accumulated value)

4月9日現在、3市とも玉川温泉岩盤浴の高レベル地域と低レベル地域の中間程度の累積線量である。
また、いわきで胃部レントゲン1回程度(600µSv) 、北茨城、高萩で胸部レントゲン10回程度(500µSv)、日立市大沼町で胸部レントゲン6回程度(300µSv)である。

「以前、累積値のカーブが飽和してきており、このまま行けば、4市とも今回の事故での累積量は胃部のレントゲン1回分程度に治まるかもしれない。」と書いたが、それは甘いかもしれない。

というのは、北脇氏の推定では、各市ともベース線量が1.5mSv/年程度になると考えられ、これだけで胃部レントゲン2回半程度となるからである。
もう少し、実測データを見守りたい。

累積値 = ∑{(カレント値 - 自然放射線量)}[nSv/h] x 1/6[h] x 1/1000 (µSv)、
ただし、自然放射線量は 50 nSv/h と仮定

accumulated value = Sum{(current value - natural radiation)}[nSv/h] x 1/6[h] x 1/1000 (µSv), natural radiation assumed as 50 nSv/h

1.3 出典データ
北茨城、高萩のデータ
茨城県ホーム > 重要事項 > 平成23年東北地方太平洋沖地震
http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/index.html

■日立市大沼町のデータ
茨城県環境放射線監視センター
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/present/result01.html
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/earthquake/doserate.html

■いわきのデータ
いわき市内の環境放射能測定値
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/topics/010570.html

福島県災害対策本部
平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況速報
http://www.pref.fukushima.jp/j/index.htm

ちなみに、4月7日現在は、「県内7方部 環境放射能測定結果(第39報)(暫定値)について」
http://www.pref.fukushima.jp/j/7houbu39.pdf
として公開されている。

2 解説

このグラフは、「1.3 出典データ」に示すデータを元に作成した。

2.1 カレント値について
このカレントデータは茨城県北(北茨城、高萩)と福島県いわき市のデータをグラフ化したものである。
(0)  3月15日 6:14 福島第一原発2号機で爆発音との報道があった。
3/15 4:00、既にいわきで24µSv/h、北茨城、高萩で約5µSv/hのピーク異常値を記録している。

(1)  3月16日 11時40分、いわきで約18µSv/h、北茨城で約16µSv/hというピーク異常値を記録しているが、茨城県のホームページでは「健康に影響はありません」としている。(※2.3項参照)

このピークは、高萩や大子のデータにはない。また、日立市や東海村の測定でも記録されていないが理由は不明である。

たぶん、風等の理由で、放射性物質の飛散、拡散が一様ではないことを示しているのだろう。
ちなみに、3月18日7時の北茨城での測定値は 0.972マイクロシーベルト/時間であり、このまま推移してくれれば、問題無しと考えられる。
その後、3月19日では約 1µSv/h 付近をうろうろしている。
福島原発での必死の対応がうまくいくことを願いながら現状よりも悪化しないことを祈るのみである。
(2)  3月21日 2時40分、北茨城では 約1µSv/hのピークを観測している。 これは、日立市大沼町で4~5時に観測されたピーク1.5µSv/hに符合していると思われる。 何かあった模様
(3)  3月21日 13時30分以降、高萩がいわきや北茨城よりも高い値になっている。
何故なんだろう?

(4) さらに3/21の午後に以下のピーク観測している。
---- 3/21 11:00 いわき 6µSv/h
3/21 15:20 北茨城 1.95µSv/h
3/21 15:30 高萩 4.16µSv/h
----
その後、高萩がいわきや北茨城よりも高い値になっている。何故なんだろう?

The peak data observed on 3/21 are as follows;
----
3/21 11:00 Iwaki 6µSv/h
3/21 15:20 Kitaibaraki 1.95µSv/h
3/21 15:30 Takahagi 4.16µSv/h
----
After 13:30 on 3/21, the dose at Takahagi is higher than the data of Iwaki and Kitaibaraki.
Why ?

(5)  3/23日18時現在、いわき 1.6µSv/h、北茨城 1.4µSv/h、高萩 2.3µSv/hで漸減中。
At 18:00 on 3/23, Iwaki 1.6µSv/h、Kitaibaraki 1.4µSv/h、Takahagi 2.3µSv/h. 
It has been decreased very slowly.

(6)   玉川温泉の岩盤浴との比較
3月24日から、玉川温泉の岩盤浴の放射線量との比較を試みることとした。

玉川温泉の放射線と今回の事故での放射線を同一視できないかもしれないが、「計れる量」としては同じ単位なので、参考として玉川温泉の岩盤浴時の放射線量データ(推定値)もプロットした。

尚、玉川温泉の岩盤浴時の放射線量は、ウェブ上のデータをエイヤっと睨んで推定した。
例えばグーぐる先生に教えてもらうと以下のような記事が出てくる。

---- 玉川温泉岩盤浴の放射線量情報(例) ----
http://kadoyasan.com/radium-onsen04.html
1.8~2.3µSv/hr
0.22µSv/h~0.98µSv/h
0.5µSv/h~1.8µSv/h
4.288マイクロシーベルト
1~3マイクロシーベルト
--------
そこで、エイヤッと、
玉川岩盤浴の低レベル地区を 0.5µSv/h
玉川岩盤浴の高レベル地区を 2µSv/h
としてプロットしてみた。

(7)  3/24日20時現在、いわき 1.4 µ Sv/h、北茨城 1.2 µ Sv/h、高萩 1.8 µ Sv/hで漸減中。
尚、現在の線量は玉川温泉での岩盤浴とほぼ同じ程度の数値といえる。

At 20:00 on 3/24, Iwaki 1.4 µ Sv/h、Kitaibaraki 1.2 µ Sv/h、Takahagi 1.8 µ Sv/h. 
They have been decreased very slowly.
The current doses are considered as same as them of Tamagawa Onsen ganban-yoku.

(8)  3/25日20時現在、いわき 1.16 µ Sv/h、北茨城 0.97 µ Sv/h、高萩 1.39 µ Sv/hで漸減中。
尚、現在の線量は玉川温泉での岩盤浴とほぼ同じ程度の数値といえる。

At 20:00 on 3/25, Iwaki 1.16 µ Sv/h、Kitaibaraki 0.97 µ Sv/h、Takahagi 1.39 µ Sv/h. 
They have been decreased very slowly.
The current doses are considered as same as them of Tamagawa Onsen ganban-yoku. 

(9) 3/27日15時現在、いわき 0.93µSv/h、16時現在、北茨城 0,87µSv/h、高萩 1.19µSv/hで漸減中。
尚、現在の線量は玉川温泉での岩盤浴とほぼ同じ程度の数値といえる。
何故、距離的に遠い高萩がいわきや北茨城よりも高い値なのか謎のままであるが、雨(だけ)のせいではないように思えてきた。

On 3/27, at 15:00 Iwaki 0.93µSv/h、at 16:00 Kitaibaraki 0.87µSv/h、Takahagi 1.19µSv/h.
They have been decreased very slowly.
The current doses are considered as same as them of Tamagawa Onsen ganban-yoku.
I wonder if the dose of Takahagi is greater than it of Iwaki and Kitaibaraki, the distance from Fukushima Daiichi to Takahagi is longer than it of others. It is not seemed to owe to rain only.

(10) 3/30日0時現在、いわき 0.78µSv/h、北茨城 0,68µSv/h、高萩 0.79µSv/hで漸減中。
尚、現在の線量は玉川温泉での岩盤浴とほぼ同じ程度の数値といえる。
何故、距離的に遠い高萩がいわきや北茨城よりも高い値なのか謎のままである。
尚、1.2の累積値を見るとその傾向がよく分かる。

At 0:00 on 3/30, Iwaki 0.78µSv/h、Kitaibaraki 0.68µSv/h、Takahagi 0.79µSv/h.
They have been decreased very slowly.
The current doses are considered as same as them of Tamagawa Onsen ganban-yoku.
I wonder if the dose of Takahagi is greater than it of Iwaki and Kitaibaraki, the distance from Fukushima Daiichi to Takahagi is longer than it of others.  See 1.2 accumulated value, you can see the differrence between Takahagi and others.

(11) 3/31日20:00時現在、いわき 0.66µSv/h、4/1日00時現在、北茨城 0.6µSv/h、高萩 0.62µSv/h
と自然放射線の10倍程度まで順調に減っている。

この調子で行けば、この放射能の主成分が半減期が約8日のヨウ素171だとする(*)と、
4/8: 0.3µSv/h, 4/16: 0.15µSv/h, 4/24: 80nSv/h, 5/2: 40nSv/h, 5/10: 20nSv/h, 5/18: 10nSv/h, 5/26: 5nSv/h, ...と下がるため5月の中旬以降は平常に戻ると考えられる。

(*) 含まれる放射能の種類と量は「つくば市で観測された空気中の放射性物質の種類と濃度の測定結果について(4)」が参考になる(厳密には場所により異なると思うが傾向はつかめる)。
高エネルギー加速器研究機構(KEK)http://www.kek.jp/quake/radmonitor/

At 20:00 on 3/31, Iwaki 0.66µSv/h、at 00:00 on 4/1 Kitaibaraki 0.6µSv/h、Takahagi 0.62µSv/h.
The doses have been decreased to about 10 times of national doses steadily.

If this pace continues, assuming that the iodine 171 half-life of about 8 days is a main  component of the activitis,
4/8: 0.3μSv/h, 4/16: 0.15μSv/h, 4/24: 80nSv /h, 5/2: 40nSv/h, 5/10: 20nSv/h, 5/18: 10nSv/h, 5/ 26: 5nSv/h, ... should be considered to return to normal after mid-May.

The report "Measurement result of airborne nuclide and air radiation level in Tsukuba area: fourth report " will be helpful (more precisely, I think that trend will vary depending on locations. But we can get rough  idea.)
KEK | HIGH ENERGY ACCELERATOR RESEARCH ORGANIZATION http://www.kek.jp/quake/en/index.html

(12) 4/1日20:00時現在、いわき 0.61µSv/h、北茨城 0.58µSv/h、高萩 0.58µSv/h。
と自然放射線の10倍程度まで順調に減っている。

この調子で行けば、この放射能の主成分が半減期が約8日のヨウ素171だとする(*)と、
4/8: 0.3µSv/h, 4/16: 0.15µSv/h, 4/24: 80nSv/h, 5/2: 40nSv/h, 5/10: 20nSv/h, 5/18: 10nSv/h, 5/26: 5nSv/h, ...と下がるため5月の中旬以降は平常に戻ると考えられる。

(*) 含まれる放射能の種類と量は「つくば市で観測された空気中の放射性物質の種類と濃度の測定結果について(4)」が参考になる(厳密には場所により異なると思うが傾向はつかめる)。
高エネルギー加速器研究機構(KEK)http://www.kek.jp/quake/radmonitor/

At 20:00 on 4/1, Iwaki 0.61µSv/h, Kitaibaraki 0.58µSv/h, Takahagi 0.58µSv/h.
The doses have been decreased steadily to about 10 times of national doses.

If this pace continues, assuming that the iodine 171 half-life of about 8 days is the main  component of the activitis,
4/8: 0.3μSv/h, 4/16: 0.15μSv/h, 4/24: 80nSv /h, 5/2: 40nSv/h, 5/10: 20nSv/h, 5/18: 10nSv/h, 5/ 26: 5nSv/h, ... should be considered to return to normal after mid-May. 

The report "Measurement result of airborne nuclide and air radiation level in Tsukuba area: fourth report " will be helpful (more precisely, I think that trend will vary depending on locations. But we can get rough  idea.)
KEK | HIGH ENERGY ACCELERATOR RESEARCH ORGANIZATION http://www.kek.jp/quake/en/index.html


(13) 4月1日に、5月の中旬以降は平常に戻ると考えられると書いたが、その後の簡単な近似(グラフ参照)や専門家の意見(*)では、残留放射能の値が以前より高くなる可能性がある。


(*) 尚、岡山大の北脇先生は、もっと理論的に厳密な考察をされている。
すなわち、放射能の飛来後、徐々に半減期が短い核種の影響が小さくなり、代わりに半減期の長い核種の影響が現れてきている点に着目し、前回のモデル
「放射線量変化モデルによる積算放射線被曝量の推定」

を拡張し、複数の核種の影響を分けて計算することにより、再度推定をやり直したとのことである。
「放射線量変化モデルによる、積算放射線被曝量の推定と放射線源の推定」

その結果、ベースラインの放射線量(当面の落ち着き先 = 見かけの自然線量)が前回の推定値よりも大きくなり、短期的には、100日間の総放射線量が前回計算値の1.8倍程度に増えているとのことである。

(14) 4月8日に北脇先生に今後の線量の推定をしていただいた。それによると、従来の自然放射線量(ほぼ0.05 - 0.1µSv/h)に相当するベース線量は以下のように底上げされる可能性がある。

いわき:0.18µSv/h (1.6mSv/年)
北茨城:0.17µSv/h (1.5mSv/年) 
高萩:0.07µSv/h (0.6mSv/年) 
日立: 0.16µSv/h (1.4mSv/年)

尚、高萩の値が低いのは測定点が小山ダムに在るという特殊性からかもしれない。
(たぶん、高萩だけが半分くらいというのは考えにくいので、いわきから日立まではほぼ同じ位と考えたほうがよい)

この値はいまさら驚くほどのでもないが、従来の一般人の許容線量1mSv/年よりも多いので、もう少し実測データの推移を見守りながら、この数値がどういう意味を持つのか考えることにする。


2.2 累積値について
累積値は北茨城市と高萩市のカレント値(10分毎の測定値)から自然放射線量(50nSv/hと仮定)を差し引いた値にサンプリング間隔時間(1/6時間)を乗じて、測定開始時からの総和をとったものである。

(1)  3月26日以前の記事では、いわき市のデータが初期のピークをとらえておらず、累積値を比較できないため表示していななかった。その後、3月27日にデータを追加した。

(2)  3月21日時点で、いわきで胸部レントゲン6回分以上、北茨城では4回分の線量被曝を受けていることが分かる。

(3) 3月21日以降、増加速度が増えている。
これはテレビ等で全体的には下がってきているとの解説とくいちがっている。
今後ともデータを監視する必要あり。

After 3/21, increasing speeds have been accelerated
This shows the real data are different from reports on TV etc that the doses have been decreasing.
We have to continue to monitor data.

(4)  3月23日18時現在、3月15日以降の被爆量は北茨城で胸部レントゲン 5回分、高萩で胸部レントゲン 4回分程度である。
At 3/23 18:00 on March 23, the exposure between 3/15 and 3/23 is about five times chest X-ray in Kitaibaraki,  about four times X-ray in Takahagi.

(5)   玉川温泉の岩盤浴との比較

3月24日から、玉川温泉の岩盤浴の放射線量との比較を試みることとした。
(「2.1 カレント値について」を参照)

(6)  3月24日20時現在 、3月15日以降の累積線量は北茨城で胸部レントゲン 6回分、高萩で胸部レントゲン 5回分程度である。
尚、この累積線量は玉川温泉での岩盤浴とほぼ同じ程度の数値といえる。

At 20:00 on March 24, the exposures after 3/15 are about 6 times chest X-ray in Kitaibaraki,  about 5 times X-ray in Takahagi.
The accumulated doses are considered as same as them of Tamagawa Onsen ganban-yoku.

(7)  3月25日20時現在、3月15日以降の累積線量は北茨城で胸部レントゲン 6回半、高萩で胸部レントゲン 6回弱程度である。 尚、この累積線量は玉川温泉での岩盤浴とほぼ同じ程度の数値といえる。

At 20:00 on March 25, the exposures after 3/15 are about 6 .5times chest X-ray in Kitaibaraki,  about near  6 times X-ray in Takahagi.
The accumulated doses are considered as same as them of Tamagawa Onsen ganban-yoku.

(9) 3月27日16時現在、3月15日以降の累積線量はいわきで胸部レントゲン 10回弱、北茨城で、高萩で 7回程度である。
尚、この累積線量は玉川温泉での岩盤浴とほぼ同じ程度の数値といえる。
(注意:この例えば、ずっと屋外にいた場合に当てはまるかもしれないが、屋内の場合はもっと少ない)

At 16:00 on March 27, the exposures after 3/14 are about 10times chest X-ray in Iwaki, 7times chest X-ray in Kitaibaraki and Takahagi.
The accumulated doses are considered as same as them of Tamagawa Onsen ganban-yoku.
(Note: This example may be applied when you have been always outside. )


(10) ここ1週間程度、非常にきれいな指数関数のカーブを描いているように見える。
これは放射線が放射性物質の半減期に従って減少していることを意味している。

3月30日0時現在、3月15日以降の累積線量はいわきで胸部レントゲン 11回程度、北茨城で、高萩で 7回半程度である。
尚、この累積線量は玉川温泉での岩盤浴とほぼ同じ程度の数値といえる。

高萩の増加率が多いのが気になるが、このまま行けば、今回の事故での累積量は胃部のレントゲン1回分(600µSv)程度に治まるかもしれない。<--- 甘いかもしれない(4/9)
(注意:この例えば、ずっと屋外にいた場合に当てはまるかもしれないが、屋内の場合はもっと少ない)

This chart seems to be drawing a very clear exponential curve in this week.
This means that the radiation is decreasing depending on the half-life of radioactive materials.

At 0:00 on March 30, the exposures after 3/14 are about 11times chest X-ray in Iwaki, 7.5times chest X-ray in Kitaibaraki and Takahagi.
The accumulated doses are considered as same as them of Tamagawa Onsen ganban-yoku.

(11) ここ10日間程度、非常にきれいな指数関数のカーブを描いているように見える。
またカーブが相当寝てきた。これは新たな放出が無く、放射線が放射性物質の半減期に従って減少していることを意味している。

高萩の量が多いのが気になるが、それは高萩の測定点がダム(小山ダム)であることと関係が有るかもしれないとの指摘がある。

専門家によれば、地域により減り方が違っているが、それは半減期だけではなく拡散の影響があるためではないかとのこと。
放射線量変化モデルの考察 第2報 岡山大 北脇氏
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~kitawaki/Radiation_Model_Sim_2.htm

それはともかく、このまま行けば、今回の事故での累積量は胃部のレントゲン1回分(600µSv)程度に治まるかもしれない。 <--- 甘いかもしれない(4/9)
(注意:この例えば、ずっと屋外にいた場合に当てはまるかもしれないが、屋内の場合はもっと少ない)

さらに、各地の積算被爆量(この記事の累積値に相当)は、宮城県(仙台、名取、大河原、亘理の4カ所)で胃の検診一回分の放射線被曝量以下、浪江町付近飯舘(**)でCT検査一回分、福島でCT検査1/2回分、浪江町付近飯舘村(*)で特に放射線量が高い2カ所でも放射線業務従事者に認められている年間上限放射線被曝量(50mSv)よりも少ないとのことである。  
(*) 誤り修正(浪江町付近飯館村→浪江町付近)2011/03/31 23:30.
(**) 誤り修正(浪江町付近→飯館) 2011/04/04 21:40

放射線量変化モデルによる積算放射線被曝量の推定 岡山大 北脇氏
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~kitawaki/Radiation_Model_Sim_3.htm

放射線量変化モデルによる、積算放射線被曝量の推定と放射線源の推定
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~kitawaki/Radiation_Model_Sim_4.htm

This chart seems to be drawing a very clear exponential curve during these 10 days. The curve seems to be near saturated.
This means that the radiation is decreasing depending on the half-life of radioactive materials.

Why is the increasing rate of Takahagi larger than others?  For one reason it has been pointed out that the monitoring post of Takahagi has been set on the water dum (Koyama dum).

According to experts, the decreasing rate varies by regions. It may be explained by considering diffusion in addition to the half-life.

Study of changing model for radiation dose - .2  by Kitawaki, Okayama-univ. 
Anyway, if the current state continues, the accumulated value may subside in about one time of it of an stomach X-ray examination(about 600µSv). <--- It may be too low (2011/4/9)

(Note: This example may be applied when you have been always outside. Normally it is more less.)

Other regions, Assist.Prof. Kitawaki said that at Miyagi the accumulated dose might be less than it of an stomach X-ray examination, at Iidate Namie (**) as same as a half of a common CT scaning and at Iidate near(*) Namie it is less than it (50mSv/y) of the nuclear workers limit per year.
(*) Corrected on 2011/03/31 23:30.
(**) Corrected on 2011/04/05 00:45.

Estimation of cumulative radiation exposure by changing model for radiation dose by Kitawaki, Okayama-univ.
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~kitawaki/Radiation_Model_Sim_3.htm

Estimation of cumulative radiation exposure and source by changing model for radiation dose by Kitawaki, Okayama-univ.

2.3 放射線が人体に与える影響について

原発が水素爆発を起こした直後は、放射能の影響に関して公的機関や報道の説明のしかたが不適切で不安に感じたため、自分ながらに検討した。以下がその結果である。
「茨城県(北茨城、高萩、大子)の放射線量の検討」

この検討の結論を言えば、1時間当たり1マイクロシーベルト程度の被曝が1年間継続したとしても人体への影響は無いと言える。

この検討では、放射性物質の半減期を考慮していないが、実際には半減期が短い物質もあるため、これ以上の放射能漏れが発生しない限り、放射線量の測定値はもっと減ることが予想される。

尚、高エネ研の分析結果「つくば市で観測された空気中の放射性物質の種類と濃度の測定結果について(2)」
 によると、検出された放射性物質の主なものは以下のとおりである (原本には半減期の記載が無かったので、概数を調べて追加した)。

第4回採取試料の検出核種及び濃度 採取期間:2011 年3 月16 日17:21—3 月17 日9:21

核種
濃度(Bq/cm3)
半減期
ヨウ素—131
2.7×10-7
8日
テルル—132
8×10-9
3.2日
セシウム—134
2.9×10-9
2年
セシウム—136
3.9×10-8
13日

また、3/20 原子力安全・保安院から、「東京電力福島第一原子力発電所敷地内(事務本館北側)の核種分析結果」が発表された。
http://www.meti.go.jp/press/20110320003/20110320003.pdf

その内容は以下の通りである (原本には半減期の記載が無かったので、概数を調べて追加した)。

核種
濃度(Bq/cm3)
半減期
ヨウ素—131
5.940×10-3
8日
ヨウ素—132
0.220×10-2
3.2日
ヨウ素—133
0.035×10-3
21時間
セシウム—134
0.022×10-3
2年
セシウム—137
0.024×10-3
30年

これらに対する見解として、東大病院放射線治療チーム  @team_nakagawa のツイッターでの 一連の発言が参考になる。
このブログの「 福島原発の放射能に関する専門家の意見 」4項に見やすいようにまとめたものを掲載した。

また、3/20現在では、頼りになりそうな説明が種々公開されている。

福島原発の放射能に関する専門家の意見
http://eq201103.blogspot.com/2011/03/blog-post_20.html

尚、数値や単位に対しては、次のサイトが参考になる。
日本原燃
http://www.jnfl.co.jp/monitoring/kaisetsu/spatial-nGyh.html

(注) デマや情報洪水に惑わされないように、データを客観的に観察しよう。

来歴
(データ更新による内容の更新については、いちいち来歴は記さない)

2011/3/27 タイトル簡素化と、いわきの3/14~15のデータを追加した。 
和文:「茨城県北と福島県いわき市の放射線量の状況」→「茨城県北といわき市の放射線量」
English: "Radiation Monitor data snapshot at north Ibaraki-pref and Iwaki-city Fukushima-pref " --> "Radiation Monitor data at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City "
理由:他の記事との整合化とツイッターでの字数節約

2011/3/28 タイトルをもう少し正確にした。

和文:「茨城県北といわき市の放射線量」→「茨城県北といわき市の放射線量率と累積値」
English: "Radiation Monitor data at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City " --> "Radiation dose rate and accumulated value at north part of Ibaraki Pref and Iwaki City"

2011/3/7 茨城県北に日立市大沼町のデータを追加した。

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