2011/07/03

自作ガイガーカウンタ用の歩数計改造メモ - その2 -
カウンタの最高動作速度とミスカウントの確率について

自作のガイガーカウンタの計数に、ダイソーの歩数計を使っているが、その最高動作速度が高々100Hz(100cps = 6,000cpm)程度なので、ミスカウントがどれくらいあるか気になっていた。

そこで、カウンタの最高動作速度とミスカウントの確率を計算してみた。たぶん、合っていると思うが、考え違いがあるかも知れないので、お気づきの点はコメントお願いしたい。

また、この計算は、GM管自身の不感帯とミスカウントの関係にも応用できそうである。

1 考え方
GM管の放電が平均値λ(回/単位時間)のポアソン分布に従うとすると測定値がk(回/単位時間)である確率は
P(λ, k) = λ^k*(e^-λ)/k! ---- (1)
で表される。

ここで、パルスが1発きた後、不感帯時間内に次のパルスが来なかった場合はカウント成功、次のパルスが来た場合はミスカウントと考えることにする。

尚、ここでいう不感帯とは、最高動作速度の逆数のことで、ダイソーの歩数計の場合は10ミリ秒(10ms)程度である。

2 不感帯、測定線量率とミスカウントの確率
測定線量率をDrad(cpm、カウント毎分)、不感帯を Tnc(min、分)とすると、不感帯内に次のパルスが来ない確率は、式(1) において、 λ = Drad * Tnc, k = 0 とおくとよいから、
P(Drad * Tnc, 0) = e^(-Drad*Tnc) ---- (2)
と表される。

従って、不感帯に1発以上のパルスが来て、ミスカウントする確率 Pmissは
Pmiss = 1 - P(Drad * Tnc, 0) = 1 - e^(-Drad*Tnc) ----(3)
と表される。

グラフ1 不感帯、測定線量率とミスカウントの確率
例えば不感帯が10msの場合(ダイソーの歩数計)では
50cpmで Pmiss = 0.08%
100cpm で Pmiss = 1.7%
200cpm で Pmiss = 3.3%
500cpm で Pmiss = 8.0%
1,000cpmで Pmiss = 15%
2,000cpm で Pmiss = 28%
5,000cpmで Pmiss = 57%
となる。

以上から、200cpm(≒0.4μSv/h, 自作GMC-01-CLの場合)程度の線量率では あまりミスカウントは無いが、1 000cpm(≒2.5μSv/h, 自作GMC-01-CLの場合)程度では15%ほどミスカウントしている計算になる。

3 ミスカウント確率、測定線量率と許容不感帯
逆に、ミスカウントする確率 Pmissに対する許容不感帯 Tnc は式(3)を変形して、
Tnc = - ln(1 - Pmiss)/Drad ----(4)
で与えられる。

グラフ2 ミスカウント確率、測定線量率と許容不感帯
例えば、
ミスカウントを5%以内にしようとすると、許容不感帯は
50cpmで Tnc = 62ms
100cpm で Tnc =  31ms
200cpm で Tnc = 15ms
500cpm で Tnc = 6.2ms
1,000cpmで Tnc = 3.1ms
2,000cpm で Tnc = 1.5ms
5,000cpmで Tnc = 0.6ms
となる。

すなわち、最大測定範囲 5,000cpm(≒13μSv/h, 自作GMC-01-CLの場合)でミスカウントを5%以下にしようとすると、許容不感帯が0.6ms、すなわち、最大動作速度が 1/0.6ms ≒ 1.67kcps = 600100kcpm程度のカウンタが必要となる。

4 計算結果とグラフ
以上の計算結果とグラフを以下に示す。
Googl spread sheet 「自作ガイガーカウンタによる測定結果」のシート「カウンタの不感帯と誤差」
https://spreadsheets.google.com/spreadsheet/ccc?key=0AoHKTfYZ8myldC1lc3llaTlaYXBzaWNEX3A1Y2h2OUE&hl=ja

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